「育苗」茎ブロッコリー(スティックセニョール)編(2021)
それは5年前の春。
小学校に登校する子供達を見送る母弟子に、
師匠の奥様が下さった、やたら茎が長く頭がちっちゃいブロッコリー。
その頃、師匠のお孫さんが通学団の班長で、
奥様もお孫さんを見送りに、時々集合場所に顔を出していらっしゃいました。
「主人が作ってるんだけどね、たくさん採れすぎちゃって、困ってるのよ〜。うふふ。」
奥様はそう言って、ビニール袋いっぱいに入ったブロッコリーを下さいました。
(これは、ブロッコリーのどこの部分なんだろう・・・)
あまり見たことの無いヒョロリとした姿をしているブロッコリーに戸惑いながらも、
夕食に茹でて食べてみると、とにかく茎がとても美味しかったのです。
スーパーで探しても、それらしいものは見つけられず、
「もっとくれ」とも言えず、約3年の歳月が流れて。
思えば、このブロッコリーが、
師匠と母弟子達の縁を結んでくれたと言えるかも知れません。
「あそこのおじいちゃんは、野菜作りがうまいに違いない。」
そして1年前の冬。
それまで1度しか会話をしたことがないご近所のおじいちゃんに、
野菜作りの師匠となっていただき、「かぐや姫の野菜畑」が動き始めたのです。
そして、師匠の畑で育っているブロッコリーを見て、思ったものです。
(なんてコストパフォーマンスの低い野菜なんだ・・・)
ブロッコリーは、50センチの間隔を開けて苗を植えます。
なので、最初は畝にポツンポツンと苗が植っていて、
とても土地を有効活用しているようには見えません。
それが十分に育つと、地面が見えないほど葉を広げ、
てっぺんに丸くてツブツブした蕾の集合体をつけるのです。
その集合体がブロッコリーで、収穫できるのはそれ1個。
それがスーパーで見かけるブロッコリーで。
しかし。
稼ぎ頭を取られたブロッコリーは、若手を次から次へと送り込み、育て上げ、
それが茎が長く頭のちっちゃい「わき芽」のブロッコリーとなり、
これがもう延々と長期間収穫できるのです。コストパフォーマンス急上昇。
これが5年前に頂いたブロッコリーだったのでしょう。
スーパーで見つけられなかったわけです。
OK、謎は解けました。
ブロッコリーを植えるぞ!
1年前の冬の決意です。
母弟子Tはとにかくブロッコリーの茎がいっぱい食べたいのです。
師匠は仰いました。
「今から植えたって、採れるかわからんぞ。」
わき芽どころか、親分ブロッコリーも危ういと仰るのです。
ブロッコリーの苗は、もっと暖かさが残る時期に植えるのが良いのです。
でもそれは承知の上です。
「かぐや姫の野菜畑」は12月に動き出したのですから。
草を刈り、畑を耕したのに、このままじっと春が来るのを待つわけにはいかないのです。
鉄は熱いうちに打て。
苗を探して何店舗も店をまわり、なんとか「チャレンジャー」という品種の
ブロッコリーを見つけ、無事植え付けました。
「あんたらにピッタリの名前じゃないか。まぁ、やってみれ。」
師匠はニヤリと笑いながら仰いました。
その後、主に師匠が頑張り、春が来ると、無事立派なブロッコリーが収穫出来ました。
わき芽ブロッコリーは、残念ながらやはり時期が遅かったようで。
よし!
次の秋には適期にブロッコリーを植えよう。
それも茎がたっぷり食べられる茎ブロッコリーを植えよう!
そして現在。
「もう時期が遅いぞ。」
師匠に言われながら、茎ブロッコリー(スティックセニョール)の苗を育てています。
「だって、苗を買いに行った時には、もう売り切れていたんです。」 by母弟子
「だから植えるつもりなら、もっと早く用意せんと!何でも少しずつ遅いんだ!」 by師匠
仰る通りです。
ではまた👋