かぐや姫の野菜畑

昔々あるところに、発達障害の子供を育てている母親グループがありました。母親達は、子供達の将来の仕事の選択肢の一つとして、野菜作りはどうだろう?と考えました。そして、まずは自分達が野菜作りを学ぼうと思い立ったのです・・・

「植え付け」春ジャガ編(2022)

「ISEKI KC250登場」春ジャガ編(2022)の続き〜

 

 

母弟子達がISEKI KC250のご機嫌を伺っている間、

師匠は手塩にかけて育てたお孫さんを動員して、

母弟子達のジャガイモ畑予定地を耕して下さいました。

ISEKIは出番が無いかも・・と思える程の、スピードと深さで掘っていかれます。

 

御年84歳。

 

鍬の使い方、力の加え方、アメとムチの使い方。

熟知していらっしゃいます。

厄介な笹の根っこも、竹の地下茎も、一撃除去。

 

 

遡って、2月初旬。

 

「ぼつぼつジャガイモの畑を整えた方が良いですよ。」

「そろそろ植え付けの段取りした方が良いですよ。」

 

師匠の奥様からメールが送られてきます。

 

「いつも何でも少しずつやることが遅い」母弟子達に、

リマインドのメールや電話をしてくれるのは、奥様です。

 

昨年のジャガイモ作りの手順を思い出し、植え付けは半月後くらいだなと算段して、

今回は「いつも何でも少しずつやることが遅い」と言われないように

早めに畑を整えようと思っていたのに・・・。

 

 

あら。

 

急かされている?

 

また遅いの?あたし達・・・

 

 

そしてやっと、師匠が今年は特別急いでいらっしゃることに気がつくのです。

 

師匠はもうすぐ入院して、手術をする予定でいらっしゃいます。

術後しばらくは養生するため、畑もお休みになります。

 

それまでに、師匠ご自身のジャガイモと、母弟子達のジャガイモを、

また畑に戻って来るまで、困らない状況にしておこうと。

 

だから、早いのは承知で作業を進めている。

 

「え〜、去年と植える時期、違うじゃん」(By 母弟子心の声)

 

そんなことを思った母弟子は、まだまだ先を見越すことが出来ない未熟者。

修行を重ねる必要があるでしょう。

 

 

さて。

 

 

師匠が耕した場所と、ISEKIが耕した省スペースに、畝を作っていきます。

 

昨年は深く掘りすぎた為、メークインは芽を出さず、大不作。

今年は掘りすぎないように、そして、力任せに深堀りした父弟子を呼ばないように、

細心の注意を払います。

 

渾身の畝が、まず1つ出来上がりました。

やはり、1年間農婦として修行を積んできた、

その成果が現れ始めているような出来栄えです。

 

 

「おぅ、何だかけったいな畝を作ったなぁ!」

 

 

師匠の声がします・・・。

 

「ほれ、鍬、貸してみれ」

 

母弟子が整えた畝に、ササっと修正をかけていかれます。

 

 

するとどうでしょう。

 

 

母弟子のものとは、全く違う。

 

師匠がジャガイモの植え付けを急いだ訳が、わかったような気がします。

 

母弟子達だけで作業したら、昨年よりも大不作になる。

 

いつでも師匠は、先を見越していらっしゃるのです。

 

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植え付ける数週間前から日光浴させると、良い芽が出てくるとの情報をGET。駐車場でやっているのを見た師匠が、「そんなことせんでも、大丈夫だぞ」と、通りがかりに教えてくれるも、頑固に日光浴を続けた。しかしこれも植え付け日程が早まったために、十分な芽出しは出来ず終い。
でも、ちゃんと芽が出てきている。師匠の言う通り。
(2022年2月中旬)

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今春の出場選手達。

 

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「こんなに上手にジャガイモを植え付ける子は見た事ないぞ!」何をやっても褒められる孫弟子R。人と関わることが苦手な孫弟子Rも、師匠には緊張しない。

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手術を終えて、畑に戻った師匠の足音を聞きつけたかのように、次々と芽を出したジャガイモ達。
(2022年4月)


ではまた👋


 

「ISEKI KC250登場」春ジャガ編(2022)

セイタカアワダチソウも笹も刈り取った第4畑に、

満を持してISEKI KC250が登場します。

 

師匠から指示を受けた、ガソリンもエンジンオイルも買ってきました。

 

母弟子が重たそうに運ぶガソリン携行缶を見て、師匠は仰いました。

 

「何リットル買ってきた?」

「10リットルです。」

「5リットルで良かったのになぁ・・。言い忘れたなぁ・・。」

 

師匠だって言い忘れることはあるのです。

そして、言い忘れたことを隠さずに言うところ。

師匠の良いところ。

 

 

さて。

 

 

KC250にたっぷりガソリンを補充します。

これは大丈夫です。

注ぎ口は大変わかりやすい場所にあります。

 

 

次はエンジンオイルを交換します。

 

わからない・・・。

やはりね・・・。

 

予習をしようと思ったのです。

でも、30年以上前に活躍した農機具の情報は、全くと言ってよいほど見つからず、

あったとしても、素晴らしい性能ご紹介!の畑を耕している動画だけ。

 

 

母弟子が知りたいのは、それ以前の話。

 

 

メンテナンス方法は?

エンジンオイルはどう交換するの?

どうやってエンジンをかけるの?

 

 

誰か!誰か!そこのところを教えてくれぃ!!

 

 

こんな時、師匠は「わしゃ、知らんぞ」と言うだけです。

師匠は自分に経験の無いことは、当てずっぽうで教えたりしません。

師匠は、師匠の持てる知識を弟子に伝えるのが役目。

知らないことは、知らないのです。

 

 

師匠が見守るだけの態勢に入った時、頼れるのは己のみ。

ISEKI KC250を活かすも壊すも、母弟子次第。

 

 

目を凝らせば

 

「オイルはこの線まで入れる」

 

そう書いてある場所があります。

 

ここでしょう。ここに何かしら施せば良いのでしょう。

思い切って、そこに設置されているカップを外してみます。

 

するとどうでしょう。

 

カップいっぱいのカタツムリが現れたではありませんか。

 

 

エスカルゴ、アヒージョ、オイル蒸し・・・

 

 

頭を巡ります。

 

果たして、彼らは好んでここに入ったのか。過ちなのか。

今も夢みごごちでオイルに浸かっているのか、既に空の星になっているのか。

 

確認している時間はありません。

何にしても、重要な部品では無いでしょう。

 

除去します。

 

エンジンオイルを線まで入れます。

そして、カップを元に戻します。

 

 

・・・戻し方がわかりません。

 

 

師匠はじっと見つめているだけ。こんな時、余計な口出しはしないのです。

仕方ありません。己を信じて、はまるところにはめるのみ。

 

 

さて。

 

 

やれることはやりました。今やれる最善を尽くしたと言える状態。

 

エンジンを起動してみます。

 

 

かかりません・・・。

やはりね・・・。

 

 

「もしかして、あのカタツムリが重要だったのでしょうか」by 母弟子

 

「たわけたことを」by 師匠

 

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その後、持ち主により起動する事を確認してもらい、無事畑を耕すことができた。
最初から持ち主に聞けば良いじゃないかって?(2022年1月)

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この荒地が畑へと姿を変えた。(2022年1月)


ではまた👋

「開墾開始」春ジャガ編(2022)

再び春ジャガを植える時期が迫ってきた2021年12月中旬。

 

「今年はここに植えるのがええ」

 

師匠が指定した場所は、第4畑の東側。

セイタカアワダチソウなどの雑草が生い茂る荒地。

 

またまた開墾です。

 

師匠の言葉を、母弟子達は素直に聞き入れます。

1年間の修行の賜物と言えるでしょう。

野菜作り40年のベテランの選択に、間違いはほぼ無いのです。

 

昨年までの母弟子ならば、新たに開墾するのはヤダと思ったことでしょう。

 

でも今年は大丈夫です。

 

この土地は荒れているとは言っても、約1年前までは野菜が作られていた土地。

土が柔らかいことは、秋ジャガと大根の為の開墾時に経験済みです。

 

そして何より、母弟子達はエンジン式の草刈り機を所有しているのです。

昨年のように、腰を痛め、うんざりしながら草刈りをする必要は無いのです。

 

この軽い気持ち。なんとも言えない安堵感。

 

しかし、師匠は仰います。

 

「まずはセイタカアワダチソウを抜くんだぞ。それから草刈り機だ」

「あの茎刈ったら、草刈り機の刃が傷むぞ」

 

(刈ってみないことには、わかりませんよ。いけるかも。)

 

外に出たがる言葉を飲み込みます。それが修行なのです。

師匠の言葉は大切にするものです。

 

1ヶ月後、セイタカアワダチソウを抜き終わりました。

 

草刈り機、満を持して登場。

 

笹をバサバサと1時間で刈り取ります。

 

終わりました〜。

 

途中、母弟子は種芋を急ぎ買いに行きます。

行きつけの園芸店で売り始めたら、早めに良い種芋をGETするのが豊作への近道。

昨年の種芋購入の際に師匠から頂いた訓辞を、母弟子は大事にしています。

 

今年はアンデスレッド(秋ジャガのリベンジ)、キタアカリ(昨年大豊作)、

メイクイーン(いつも猫の名前と間違える)を1,5kgずつ植える予定です。

 

さて。

 

種芋を買ってしまったからには、畝作りを急ぎましょう。

もう種芋はいつでも芽を出す準備ができているのです。

 

いつも「何でも少しずつ遅い」と師匠に言われ続けて1年。

今回こそ、超万全の状態で種芋を迎えたいと鼻息も荒くなります。

 

そんなふうに思えるのは、畝作りにも強い味方が登場したからなのです。

 

 

ISEKI 管理機 KC250

 

 

製造メーカーに問い合わせるも、取扱説明書も、交換部品もないと言われた、

30年以上前に活躍したミニ耕運機。

 

母弟子達は、この強者を使いこなせるでしょうか。

 

乞うご期待。

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第4畑東側開墾開始。セイタカアワダチソウを抜きまくる。
(2021年12月13日)

 

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メークインメインクーンって、名前似すぎ。(2022年1月)

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ISEKI 管理機KC250。お願い!できるだけ故障しないで!(2022年1月)


ではまた👋

 

 

 

「植え付け②」茎ブロッコリー(スティックセニョール)編(2021)

「植え付け①」茎ブロッコリー(スティックセニョール)編(2021)の続き

 

 

師匠にほぼ無理やりスティックセニョール26株を託した翌日。

母弟子達は、残りの20株を連れて、畑に向かいます。

 

まず第1畑の畝に、持ってきた20株を置いていきます。

師匠に押し付けた26株を植えた後にここに戻り、穴を掘り植えていくのです。

 

 

ふと、母弟子Tは思います。

 

 

(この畝に20株植えられるだろうか?)

 

 

スティックセニョールを植え付けるとき、

株間は40cmくらいは開ける必要があります。

 

今は小さく、畝のどこに植っているかもわからないくらいの苗ですが、

いずれは大きく葉を茂らせ、美味い茎をいっぱいに伸ばすのです。

 

 

もう一つ、畝を作るか? or 選別するか?

 

 

一旦保留にします。

 

 

師匠をこれ以上待たせてはいけません。

師匠の畑に急ぎます。

 

 

「おぅ、来たか」

 

 

師匠は既に畝を作り上げ、スティックセニョール達は植え付けられるのを待つばかり。

 

 

良かった、間に合いました。

 

 

師匠は40cm間隔で、植え付ける穴を掘っていきます。

母弟子達と孫弟子Rは、せっせと植え付けていきます。

 

「こんなに上手に苗を植え付ける子は初めて見たぞ」と褒められる孫弟子R。

「やることが遅い!遅いぞ!」と、ムチをふるわれる母弟子達。

 

あっと言う間に26株全てが、然るべき位置に落ち着きました。

 

 

師匠が仰います。

 

 

「第1畑に植え付けられない分、持って来いや。」

 

 

師匠は何でもかんでもお見通しのようです。

 

母弟子達の作った畝では、大した量は植えられないだろうと、

最初から畝を大きく作っておいでなのでした。

 

 

母弟子Tは第1畑に戻ります。

 

良かった。

 

新しく畝を作る必要も、苗を選抜する必要もなくなりました。

 

母弟子達の畝に植えられる苗は、Max16株と言ったところ。

4株、師匠の畑の世話になろう。

 

 

4株・・・

 

 

師匠の畑には、まだ20株以上、苗を受け入れられる余裕がありました。

 

 

それなのに、4株だけって・・・

 

 

もうすっかり出来上がった畝が、目の前にあると言うのに・・・

 

 

母弟子Tは、苗を持って師匠の畑に戻ります。

 

 

「なんだ、全部ここに植えるのか!全部わしが育てるんか!」

「たわけたことを!」

 

 

母弟子Tが20株全部持って戻ったのを見て、師匠が仰いましたとさ。

 

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師匠の畑に落ち着いたスティックセニョールの苗。
大丈夫だ。ここにいた方が美味しく育ててもらえる。(2021年12月21日)

 

ではまた👋

「植え付け①」茎ブロッコリー(スティックセニョール)編(2021)

ある12月の暖かい日。

 

母弟子Tは、日課となったスティックセニョール苗のお世話に精を出します。

土が乾きすぎていれば水をやり、青虫に食べられていれば青虫を成敗し、

強風に煽られて傾いた苗は、優しく立て直し、土寄せをして、「大丈夫?」と声をかける。

 

その甲斐があったようで。

 

母弟子Tの過剰な期待に押し潰されることもなく、苗達は順調に成長しました。

 

母弟子Tと、季節外れの暖かさと、母弟子T邸に特設した家庭用ビニールハウス、

この三つ組での勝利と言えるでしょう。

 

 

しかし。

 

 

母弟子Tは少々気が重いのです。

 

一体、この大量の苗をどこに植えれば良いのか・・・。

 

第1畑にスティックセニョール用の畝は用意してあります。

 

しかし、1畝だけ。

 

園芸店で苗を調達して植える予定で作った畝ですが、肝心の苗が売り切れで。

 

結局種から作ることにした母弟子の作業を待って、

1ヶ月間前からスタンバイしている畝ではあります。

 

でも、これだけのセニョールを引き受ける広さはありません。

 

もちろん、「かぐや姫の野菜畑」は土地に困っていないので、

耕せばいくらでも野菜を植えられるのです。

 

 

耕せば。

 

猫の手でも借りれるならば。

 

 

でも、闇雲に大量のセニョールを栽培するのは、いかがなものでしょう。

 

食べきれないほどのセニョール達は、行き場を無くし、

育ての親の母弟子により、畑の肥やしとして土に還される可能性もあるのです。

手塩にかけたセニョール達が、疎ましい存在になるのは避けたいものです。

 

 

ならば、ならばいっそ、苗のうちに・・・。

 

 

「畑に出陣するレギュラーメンバーを選抜する時が迫っている。」

 

そう言うことです。

 

母弟子Tの手厚い世話を受け、まさしく、ぬくぬくと温室育ちの苗、計46株。

 

どれも同じだけの手間と愛情をかけたセニョール。

 

この中からレギュラーになれるのは、16株。

 

残りの補欠達の運命やいかに!

 

選ぶ方も、選ばれなかった方も、苦い思いが残るものです。

 

 

 

そこへ。

 

 

健康の為、近所のご友人と一緒にwalkingをしていた、師匠の奥様が通りかかります。

 

「あら、上手に育てたじゃないの〜!ちょっと時期が遅いけどね。ふふふ。」

「これだけ育ったなら、もう畑に植え付けた方が良いわよ。今週暖かいし。」

 

 

(そうだ!)by 母弟子T心の声

 

 

「数株、いかがですか?」by母弟子

 

「あら、良いの?じゃ、裏庭の畑に植えようかしらね。」by奥様

 

 

奥様にひっついて、26株の苗達を連れて師匠宅にお邪魔します。

 

奥様が裏庭に向かって声をかけます。

 

「けんちゃ〜ん!ほら、けんちゃ〜ん!ふふふ。」

「母弟子さんがブロッコリーの苗を分けてくれるそうよ!」

 

先月84回目の誕生日を迎えられたけんちゃんが、裏庭畑からこちらにいらっしゃいます。

 

「おぉ、上手く育てたじゃないか。これだけやれれば、立派なもんだ。」

 

久々にアメをGETしました母弟子です。

 

 

さて。

 

 

奥様が、裏庭畑に出陣するメンバーを選抜にかかります。

 

予想通り、母弟子ならレギュラーには選ばない、小柄な選手を4株選ばれました。

 

見習うべき大人の対応です。

 

そこへ母弟子Tは、レギュラー候補の苗を追加していきます。

 

「立派な苗は母弟子さん達で育てなさいよ。こちらは上手くやるから。」by奥様

 

「いえ、けんちゃんに育てて頂いた方が確実なので、可能性が高い方を育ててください。

私達が失敗したら、代わりにそこから収穫しますので。」by母弟子

 

「たわけたことを!」byけんちゃん

 

 

結局。

 

 

苗達は、全てレギュラー入りし、師匠宅の裏庭畑ではなく、

山の上の師匠の本陣畑に出陣することになったのであります。

 

師匠が26株のセニョール達を連れていく後ろ姿を見守りながら、

「美味しく育ててもらえよ・・・」と、つぶやいたか、つぶやかなかったか。

 

 

そして翌日。

 

 

残りの20株を引き連れて、母弟子達と孫弟子は、第1畑に向かうのです。

 

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師匠の本陣畑に出陣したセニョール達。錠剤の肥料は母弟子Tの興味により添加。
肥料を追加した方が生育が良いのか調べたかった。結局、差は無いようだ。(2021年12月11日)

 

ではまた👋

「植え付けから2ヶ月半」秋ジャガ(アンデスレッド)編(2021)

9月14日に植え付けた秋ジャガ(アンデスレッド)は、

11月28日で約2ヶ月半が経過しました。もうすぐ収穫です。

 

施肥+土寄せも適期に行い、強風で数株の茎が折れてしまってはいますが、

順調に育ってきたように見えます。

 

ただ、3月に栽培したキタアカリを思い出してみると、

野生的な強さは感じられず、少し頼りなくも見えます。

 

 

さて。

 

 

畑を見廻りながら、母弟子は師匠と話します。

 

「芋はどれくらい大きくなっているでしょうね。」 by母弟子

 

「なんぼも大きくなっとらん。採れたって種芋に使えるくらいだ。」 by師匠

 

 

そうでした。

師匠は秋ジャガには興味がないのでした。

芋が太らないし、数も採れないし、第一美味しく作れない。

 

「ほんとに作るんか?」

 

それを聞いた時、母弟子は思ったものです。

 

美味しく作って褒めてもらおう。

一生懸命世話をすれば、きっと出来るはずだ。

 

きっと。

 

 

そして母弟子は、師匠が見ていない時に、1株掘ってみたのです。

 

・・・親指ほどの大きさの赤紫色の芋が3つ。

 

 

 

一生懸命やっても、どうにもならないものもある。

それは野菜作りでも、発達障害の子供を育てるのとも、

それ以外の何事とも、きっと同じなのでしょう。

 

 

もしかしたら。

 

 

土が合わなかったのかも知れない。

今年の気温が合わなかったのかも知れない。

肥料が足りなかったのかも知れない。

日照が足りなかったのかも知れない。

 

何か、ジャガイモにとっては育ちにくい理由があったのでしょう。

 

近所の園芸店でアンデスレッドの種芋を売っていたので、

この地域では栽培に適さない品種、というわけでは無いようです。

きっとこの近辺で、美味しく育てている人もいるのでしょう。

 

 

 

発達障害の子供達を育てていると、色々頭を悩ませます。

 

どう言っても連絡帳を書かない。

連絡帳を書いても、忘れ物が多い。

連絡帳自体を学校に置いてくる。

 

考えられる限りの対策を練っても練っても、思うように改善しない。

 

 

お手上げ。

 

 

こんな気持ちになることもあります。

 

でも、母弟子達は「数うちゃ当たる」方式で、

手を替え品を替え、彼らに働きかけるのです。

 

上手く行くかも知れない。行かないかも知れない。

でも、どうしたら上手く行くのか模索し続けるのです。

 

 

 

 

ジャガイモは思ったように育たなかった。

 

でも、残念に思わなくていい。

 

手を尽くしたのだから。

 

ジャガイモの横では大根が元気に育っている。

 

それでいいじゃない。

 

 

 

どうしても問題にばかり目が行きがちで、悩むことがあるけれど、

きっと子供達の中でも、何かが根を張って元気に育っている。

 

それを育てていけばいい。

 

それでいいじゃない。

 

 

そう心から思えたら、すごく気が楽になるのにな。

 

そんなことを、小さな芋を前に思ったりして。

 

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アンデスレッドの畑と、親指ほどの大きさの芋。右下は6月に収穫したキタアカリ。



ではまた👋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「育苗」茎ブロッコリー(スティックセニョール)編(2021)

それは5年前の春。

 

小学校に登校する子供達を見送る母弟子に、

師匠の奥様が下さった、やたら茎が長く頭がちっちゃいブロッコリー

 

その頃、師匠のお孫さんが通学団の班長で、

奥様もお孫さんを見送りに、時々集合場所に顔を出していらっしゃいました。

 

「主人が作ってるんだけどね、たくさん採れすぎちゃって、困ってるのよ〜。うふふ。」

 

奥様はそう言って、ビニール袋いっぱいに入ったブロッコリーを下さいました。

 

 

(これは、ブロッコリーのどこの部分なんだろう・・・)

 

 

あまり見たことの無いヒョロリとした姿をしているブロッコリーに戸惑いながらも、

夕食に茹でて食べてみると、とにかく茎がとても美味しかったのです。

 

スーパーで探しても、それらしいものは見つけられず、

「もっとくれ」とも言えず、約3年の歳月が流れて。

 

思えば、このブロッコリーが、

師匠と母弟子達の縁を結んでくれたと言えるかも知れません。

 

「あそこのおじいちゃんは、野菜作りがうまいに違いない。」

 

 

 

そして1年前の冬。

 

それまで1度しか会話をしたことがないご近所のおじいちゃんに、

野菜作りの師匠となっていただき、「かぐや姫の野菜畑」が動き始めたのです。

 

そして、師匠の畑で育っているブロッコリーを見て、思ったものです。

 

(なんてコストパフォーマンスの低い野菜なんだ・・・)

 

 

ブロッコリーは、50センチの間隔を開けて苗を植えます。

なので、最初は畝にポツンポツンと苗が植っていて、

とても土地を有効活用しているようには見えません。

 

それが十分に育つと、地面が見えないほど葉を広げ、

てっぺんに丸くてツブツブした蕾の集合体をつけるのです。

 

その集合体がブロッコリーで、収穫できるのはそれ1個。

それがスーパーで見かけるブロッコリーで。

 

しかし。

 

 

稼ぎ頭を取られたブロッコリーは、若手を次から次へと送り込み、育て上げ、

それが茎が長く頭のちっちゃい「わき芽」のブロッコリーとなり、

これがもう延々と長期間収穫できるのです。コストパフォーマンス急上昇。

 

 

これが5年前に頂いたブロッコリーだったのでしょう。

スーパーで見つけられなかったわけです。

 

 

OK、謎は解けました。

 

ブロッコリーを植えるぞ!

 

1年前の冬の決意です。

 

母弟子Tはとにかくブロッコリーの茎がいっぱい食べたいのです。

 

 

 

師匠は仰いました。

 

「今から植えたって、採れるかわからんぞ。」

 

わき芽どころか、親分ブロッコリーも危ういと仰るのです。

ブロッコリーの苗は、もっと暖かさが残る時期に植えるのが良いのです。

 

でもそれは承知の上です。

 

かぐや姫の野菜畑」は12月に動き出したのですから。

 

草を刈り、畑を耕したのに、このままじっと春が来るのを待つわけにはいかないのです。

 

鉄は熱いうちに打て。

 

苗を探して何店舗も店をまわり、なんとか「チャレンジャー」という品種の

ブロッコリーを見つけ、無事植え付けました。

 

「あんたらにピッタリの名前じゃないか。まぁ、やってみれ。」

 

師匠はニヤリと笑いながら仰いました。

 

 

その後、主に師匠が頑張り、春が来ると、無事立派なブロッコリーが収穫出来ました。

わき芽ブロッコリーは、残念ながらやはり時期が遅かったようで。

 

よし!

 

次の秋には適期にブロッコリーを植えよう。

それも茎がたっぷり食べられる茎ブロッコリーを植えよう!

 

 

 

そして現在。

 

「もう時期が遅いぞ。」

 

師匠に言われながら、茎ブロッコリー(スティックセニョール)の苗を育てています。

 

「だって、苗を買いに行った時には、もう売り切れていたんです。」 by母弟子

 

「だから植えるつもりなら、もっと早く用意せんと!何でも少しずつ遅いんだ!」 by師匠

 

仰る通りです。

 

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順調に育っているように見えるスティックセニョール達。
現在は家庭用ビニールハウス内で畑デビューに向けて成長中。(2021年11月29日)



ではまた👋