かぐや姫の野菜畑

昔々あるところに、発達障害の子供を育てている母親グループがありました。母親達は、子供達の将来の仕事の選択肢の一つとして、野菜作りはどうだろう?と考えました。そして、まずは自分達が野菜作りを学ぼうと思い立ったのです・・・

勇気ある撤退(ネギ編)2021

「勇気ある撤退」とは、「失敗」「収穫を諦めた」ということです。

でも、「失敗」したのは「チャレンジ」したからこそ。

「チャレンジ」できたのは、ムチを携えた師匠が、後ろから睨みを効かしていらっしゃったからこそ。

いえ、結果がどうなるにしても、「まずやってみたらええ」と面白がりながらも、じっくり見守ってくれる師匠がいるからこそ。

私たちも、子供達のチャレンジする気持ちを大事にしたいと、師匠を見ていて思うのです。

私たちが師匠から学べることは、野菜作りだけではないようです。

 

 

勇気ある撤退「ネギ編」

 

2021年5月のある朝。

 

師匠の奥様から、母弟子Tに電話が入ります。

 

「ネギをいっぱい貰ったのよ。欲しい?」

「はい、遠慮なく頂きます。今から伺っても良いですか?」

「いえ大丈夫よ。主人(師匠)が畑に持って行くから」

 

???

 

歩いて数秒の所に住むご近所同士なのに、なぜわざわざ山を登って、

畑でネギをくださるのでしょうか。

 

 

不可解です。

 

 

・・・あぁ、そうか。

 

 

ネギを師匠にプレゼントした人に、見られないようにしたいのかも知れません。

ここは、さも自分の畑で収穫したように持ち帰るのが、弟子の努めでしょう。

 

「わかりました。畑で受け取ります。」

「もう本当にいっぱいあるのよ〜。留守の間に誰が置いていったかわからんけど、

うちの玄関に置いていったという事は、うちにくれたと言うことなのよね、きっと。」

 

 

一体、どういう話なのでしょう・・・

突然玄関に現れた出処不明のネギ・・・

師匠ご夫妻は、母弟子達に何を授けようとしているのでしょう・・・

 

 

既に師匠はネギを持って、畑に出発されたとのこと。

急ぎ、畑に向かいます。

 

いらっしゃいました。

 

なぜか第1畑に。

 

師匠は畝を作っていらっしゃいます。

母弟子達の畑で、何をなさろうとしているのでしょう。

 

「ほれ、いっぱいあるだろ!誰が置いていったのか知らんけど。」

 

また出たキーワード。

出処が不明なネギ。

 

師匠が指差す方を見ると、麻袋からはみ出さんばかりに詰め込まれている

ヨレヨレの貧弱なネギが。

 

あれか。

 

はっきり言って、このネギは美味しそうに見えません。

でも、お断りしたら、師匠が山まで持ってきた労力が無駄になります。

 

そして師匠が良かれと思ってなさった事です。

弟子はありがたく頂戴するものです。

 

 

覚悟を決めます。

あの大量のネギをどうするか。

使い道としては、小口切りにして薬味として使えるくらいでしょうか。

一生小口切りには困らない身分になってしまう・・・

 

 

「ほれ!さっさと植え付けてしまうぞ!持ってこい!」

 

 

何を持っていけば良いのでしょう。何を植え付けるのでしょう?

 

 

「ほ〜れ、見てないでネギ持ってこい!」

 

 

孫弟子Rは、麻袋からネギを掴み、師匠の元に向かいます。

 

「Rは偉いなぁ。お母さん達は役に立たんなぁ、なぁ?」

 

師匠はアメを孫弟子に与えます。

 

師匠は孫弟子Rから受け取ったネギを畝に横たえていきます。

 

 

あぁ!!

やっとわかりました!

あのヨレヨレは、ネギの苗なのですね!?

ネギは種から植えるのではなく、ヨレヨレの苗を植えて大きくしていくのですね!

 

 

謎は解けました。

母弟子はやっと動き出せます。

 

第1畑の中央付近にネギをどっさり植え込みます。

ネギを植えるときは、ちょっと斜めに溝を掘り、そこに寝かしていくそうです。

あまり沢山の土を被せないように気をつけます。

数日すれば、ネギは根を張り、起き上がってくるそうです。

 

 

やり切りました。

 

 

あとは収穫まで、こまめな雑草取りと、適宜肥料を追加する。

そうすれば、スーパーで売ってるような太くて立派なネギが出来上がるはずです。

 

 

でも、出来上がりませんでした・・・

 

 

第1畑は蘇りつつありますが、それは北側4畝分ほど。

それ以外の場所は雑草が生い茂り、ネギの姿は今現在確認できません。

 

もしかしたら、雑草の中に紛れて存在しているのかも知れませんが、

もうすぐエンジン式草刈機で、雑草を一掃する予定です。

ネギだけ例外というわけにはいかないでしょう。

 

「ま、しゃあねぇな。わしの畑のネギを持っていけばええから」

 

師匠はいつもお優しい。

遠慮なく、出来上がったネギを頂くことにします。

 

そして、どなたが下さったネギか判明したのでしょうか。

師匠達は、色々ざっくりしています。細かい事は気にしないのです。

今回のネギも、見切り発車的植え付けと言えるでしょう。

 

 

「誰も返せと言ってこないから、やっぱりうちにくれたんだわ。」

「ま、いいや、いいや。うふふふ」と奥様は笑いました。

 

f:id:Bluem:20211103004505j:plain

誰がくれたかわからないネギをせっせと植え込む。(2021年5月)

f:id:Bluem:20211103004715j:plain

作業が様になっている孫弟子R。師匠からアメの嵐と優しい眼差し。(2021年5月)

 

ではまた👋