かぐや姫の野菜畑

昔々あるところに、発達障害の子供を育てている母親グループがありました。母親達は、子供達の将来の仕事の選択肢の一つとして、野菜作りはどうだろう?と考えました。そして、まずは自分達が野菜作りを学ぼうと思い立ったのです・・・

蘇る第1畑

ある朝、第4畑にて。

 

母弟子は、秋ジャガの芽欠きしようと、ちぎり取る茎の品定めをしていました。

奥の畑から、一仕事終えた師匠が様子を見にいらっしゃいます。

 

「おぅ、今日は何をする予定だ?」

 

師匠は、母弟子達がこの時期に必要な作業を把握しているか、チェックします。

 

「まず、秋ジャガの芽欠きをします。」

 

母弟子Tは少し得意げです。

 

なぜなら、師匠から指導を受けなくても、ジャガに必要なお世話を覚えていたからです。

きっと師匠も母弟子の成長を感じてくださるでしょう。

 

 

「そ〜んなことせんでええ!」 by 師匠

 

 

・・・なぜ。

 

 

春ジャガを作った時には、芽欠き忘るるべからずな作業であったはずです。

芽欠きをして、施肥して、土寄せして、そしてしばらく成長を見守って・・・

 

第1クールは、この手順で間違いないはずです。

 

NHKの野菜作りの本で復習もしました。

そう、野菜をバックに、にこやかなおじさんが鍬を担いでいる、あの表紙の本です。

 

「本がなんぼのものか!秋ジャガは春ジャガとは違うんだ。」

 

芽欠きなんぞしたら、もともと収穫量が少ない秋ジャガが、

もっと採れなくなるぞと師匠は仰いました。

 

そうでした。

 

師匠は、「秋ジャガは数が取れないから作らないもん」的な事を仰っていました。

 

「おぅ、それよりブロッコリーはどこに植える気だ?苗が育ったら、分けてやるからな」

「どこに植えるのが一番良いでしょう?」

「どこでも好きな場所でええ。第1畑とかな。」

 

決まりました。

 

第1畑にブロッコリーを植えます。

師匠が固有名詞を出したら、弟子はそれに従うのが賢いやり方なのです。

 

 

 

さて、その第1畑の状況は。

 

師匠をして「悲惨」「悲劇」「終わった」と言わしめた程、荒れ放題。

 

でも、待ったなしです。

 

師匠の畑で、既にブロッコリーは芽を出し、育っているのです。

ブロッコリーだけではありません。

 

母弟子用に育ててくれた菜花が、これまた師匠の畑で順調に成長しています。

このままだと、師匠の畑で収穫期を迎えてしまいます。

 

 

母弟子達は決心します。

 

「第1畑を甦らせよう。」

 

幸い、今日は4人の働き手がいます。推定平均年齢36歳。

孫弟子Rが平均年齢の引き下げに大きく貢献しているとは言え、若い力が集まっています。

 

今日やらなくて、いつやるのでしょう。今でしょ!

 

 

 

第1畑に向かいます。

 

孫弟子Rの「早く帰りたい」オーラには、気が付かないふりをします。

 

ホームスクーラーの彼が畑に来る1番の目的は、日光を浴びることです。

日光を浴びて、体内でビタミンD3を合成し、健康な骨を維持する。

そしてメラトニンの分泌を調整し、夜の寝つきをスムーズにする。

畑に行かない日は、窓際にひっついて、日光浴している時もあります。

 

 

彼のとる行動には、常に明確な理由があります。

理由が必要、と言ったほうが適切でしょうか。

 

 

OK、耕せとは言いません。

ただ、母弟子はまだ帰るわけには行きません。

孫弟子Rは当てにしないで、若手3人を中心に作業を進めます。

 

 

するとどうでしょう。

 

 

第1畑が畑らしさを取り戻したではありませんか。

 

あとは苦土石灰を撒き、施肥して土作りをしたら、マルチングするだけです。

 

良かった、これでブロッコリーと菜花をお迎えできます。

 

「おぅ、きちんと出来てるやないか」

 

耕された畑を見て、師匠がアメを下さいましたとさ。

 

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蘇った第1畑。
これまでに、スナップえんどう(大不作)・人参(失敗)・キュウリ(採れすぎ)
ミニトマト(カナブンが食べちゃった)を栽培した経験を持つ土壌。
ここにブロッコリーを植える。(2021年10月)

 

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荒れた畑に入ると、ひっつき虫(植物)の餌食になる。
「種作る前に刈っちまわないと、来年もまた生えるぞ」と山の上の準師匠のアドバイス
時既に遅し。(2021年10月)

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2021年3月の第1畑。ブロッコリーとキャベツの収穫が始まる。

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立派なブロッコリー。こんなに大きく葉を広げるとは知りませんでした。
背後には育ちつつあるキャベツの姿も。(2021年3月)




ではまた👋