「間引きの話を邪魔した話②」大根編(2021)
「間引きの話を邪魔した話①」大根編(2021)の続き
「間引きの話を邪魔した話②」
ある10月の朝。
母弟子は第4畑に向かって歩いていました。
第4畑では、秋ジャガと大根が、母弟子達のお世話を待っています。
「今日は師匠と会えるかな?」
母弟子は師匠に聞きたいことを考えながら歩いて行きます。
第3畑に差し掛かり、第4畑が向こうに見えてきたその時。
母弟子Tは感知します。
「何かが、いる。」
第4畑の大根が植えてある辺りの土が、盛り上がっています。
あぁ、これは大丈夫です。恐るるに足らず。先日遭遇済みです。
メスのキジです。
母弟子Tは、右足をグッと持ち上げ、ドカンと地面に降ろします。
轟音と振動で追い払う作戦です。
キジは慌てて飛び立ちました。
上手くいきました。
そして、その後を追いかけるように、茶色の動物が走り去りました。
イタチのようでした。
さて。
作業をしていると、師匠の声がしました。
「おぅ、順調だなぁ!」
師匠は既にご自身の畑の世話は終わり、戻って来たところのようです。
師匠達の朝は早い。
特に夏場は超早い。
山の上の畑の準師匠(師匠より1歳年上の紳士)は、朝5時〜7時が第1ラウンド、
午後に第2ラウンド、時には第3ラウンド戦っている時があります。
特に夏場はAM10時までが勝負だそうで、実際、朝の家事を終えて母弟子達が畑に行く頃には、
師匠達は第1ラウンドを終えて、帰路につかれているのです。
この暑い期間、師匠からの指導は、主に師匠の奥様を介した電話とメールになります。
奥様は、母弟子Tと電話が繋がると師匠を呼びます。
「ほら!けんちゃん!」
「わしはいいから、お前から伝えてくれればいいんや!」
けんちゃんは、あまり電話口には出ません。
でも、奥様に指示をしている声がしっかり聞こえてくるので、
内容はあらためて奥様から聞かなくてもわかる仕組みになっています。
奥様もそれはお分かりのようで、
「そういうことだって。ふふふ」とまとめられます。
さて。
第4畑にいらした師匠に尋ねます。
「キジは大根の葉を食べますか?」
「食わん」
「にがいからでしょうか?」
「知らん」
「イタチみたいなのを見ました」
「イタチはおるぞ」
イタチはキジを狙っていたのかも知れません。
では、キジはなぜ大根畑にいたのでしょう。
そして、もう1つ聞きたかったことを尋ねます。
「土から芽を出したばかりの大根を収穫すれば、カイワレ大根と同じようなものですか?」
「なに!?」
師匠は聴覚が優れていらっしゃいます。聞き返したのは、母弟子の質問の意味が分からなかったからでしょう。
母弟子が質問を繰り返すと、師匠は仰いました。
「それは、青首大根だ!総太り大根だ!」
母弟子だって、「総太り大根」と言うことは知っています。師匠の指示で買った種ですから。
名前も印象的だったので、忘れてはいません。
「全く、よう知っとるなぁ。じゃ、わしゃ帰るぞ」
人は、「良く知っている」と人に言う時、褒めている時と、その反対の「無知」と言いたい時とがあります。
師匠は大抵、「無知」の意味でこの言葉を使われます。
「はい、ありがとうございました。」
師匠は帰られました。大根達の世話について指導すること無く。
家に帰り、母弟子TはPCを開き、セカンドオピニオンを求めます。
①キジは大根の葉を食べる。
②カイワレ大根は、カイワレ大根となるべくして品種改良されたもので、
違う品種の大根から出た芽は、カイワレ大根ではない。
師匠、1勝1敗。
このような母弟子の無駄話により、師匠の思考回路は絡まり、作業の指示(間引き作業)は忘れ去られていたのです。
10月23日に少しだけ間引きしてみました。
人参を失敗しているので、出来れば師匠の監視下で間引きたい気持ちが強い母弟子です。
ではまた👋