「植え付けから45日」秋ジャガ(アンデスレッド)編(2021)
こんにちは。
第4畑に植え付けた秋ジャガ(アンデスレッド)は、順調に育っているように見えます。
師匠は「ま、いいんじゃないの?」とニヤリとします。
あまり指導を入れてこられないのは、本当に問題なく栽培できているからでしょうか?
それとも、母弟子達が自ら問題点に気がつくのを見守っているからでしょうか?
何にしましても、気になるニヤリです。
師匠が作ったジャガイモは素晴らしく美味しい。
師匠も自信を持っていらっしゃいます。
「わしのジャガイモを食ってみてくれ!一味違うんだ。」
梅雨入りする前、収穫したての立派なジャガイモをバケツからゴロゴロ出しながら、師匠はそう仰いました。
師匠は必ず一番きれいな、一番食べごろの野菜を、惜しげもなく母弟子達に振る舞います。
自分の中で納得の出来栄えではない野菜は、母弟子達に振る舞うどころか、見せてもくれません。
「どうだ!うまいだろ!」
そう胸を張って言える野菜だけ、師匠は渡すのです。
プライド。
春、師匠の畑の収穫したての玉ねぎを見て、孫弟子Kが言いました。
「あ、玉ねぎ!欲しい!」
「・・・欲しいのか?なら持っていきな」
その時の師匠の表情は困っていたように記憶しています。
それまで沢山の野菜を気前よくプレゼントしてくれていた師匠が、初めて渡すのを渋ったのを感じて、
「渡したくない大事な野菜もあるんだな」と思ったものです。
その後も一向に玉ねぎを振る舞ってくれる気配を感じさせない師匠に、
スーパーで買うべきか、師匠の玉ねぎを待つべきか、母弟子をやきもきさせたものです。
その玉ねぎは、出来が良くなかったと知ったのは、少し経ってから。
その時初めて、出来が良い野菜だけを分けていてくれた事を知ったのです。
プライド。
母弟子は師匠に尋ねます。
「なぜ秋ジャガは作らないのですか?」
ジャガイモ作りが得意な師匠なら、秋ジャガを作りそうなものです。
でも師匠は秋ジャガを作っていません。
「秋ジャガは旨くねぇ」
!!!
思い起こしてみれば、確かに秋ジャガは師匠からの指導で植えたのでは無く、
母弟子Tが言い出したことです。
「ま、やりたければ、やればええんじゃないのぉ?」
そうですか・・
だからあの時、適当な軽い返事だったのですね・・・
秋ジャガは、春ジャガほど旨みが乗ってこないし、取れる量も少ないそうで。
「北海道の親戚が送ってくれるもん。わざわざ美味しくない芋を作る必要ないもんね。」
師匠は言い放ちました。
こうなったら、師匠を唸らせる美味しい秋ジャガを作るしかありません。
母弟子は拳を握りしめたのでした。
さて。
秋ジャガを植えた母弟子は、己の進歩に確かな手応えを感じました。
手元にあった約30個の種芋を1軍と2軍と3軍に分けました。
3軍は植え付けなくて良いでしょう。畝を作るのが面倒です。
今回はジャガイモ作りの確認試験ですから、沢山収穫出来なくても良いのです。
それより体力を温存する方が、今は大切なのです。
母弟子達はまず1軍を植え付け、そしてその右隣の畝に2軍を植え付けます。
さぁ、作業終了というところで、畝の端っこに置いてある種芋を見て、師匠の指導が入ります。
「ここに余っている種芋はどうするんだ。」
「これは、植えません。」
「なぜだ。」
「あまり良い種芋に見えないし、面倒くさいからです。」
「たわけたことを!あるものは植えりゃいいんじゃ!」
渋々1軍の畝の左側に、3軍用の畝を作ります。3軍を植え付けます。終わりました。
するとどうでしょう。
確実に1軍が一番成長が良いのです。3軍は芽を出さない率が一番高く、華奢な立ち姿。
母弟子の采配は正しかったのです。
冬の間、春ジャガ100個を玄関でお世話した経験から、母弟子の種芋を見る目は、
間違いなく肥えたのでしょう。
「すごいと思いませんか?」
次に師匠にあった時に、母弟子は師匠の感想を伺ってみようと思っています。
きっと「あぁ、すごいすごい。恐れ入りましたっ」と、軽い調子でおっしゃることでしょう。
ではまた👋