かぐや姫の野菜畑

昔々あるところに、発達障害の子供を育てている母親グループがありました。母親達は、子供達の将来の仕事の選択肢の一つとして、野菜作りはどうだろう?と考えました。そして、まずは自分達が野菜作りを学ぼうと思い立ったのです・・・

師匠

こんにちは。

今日は私達の野菜作りの師匠について。

 

師匠は昭和12年生まれ、戦後を生きてきた人。

ガンなどの大きな病気をいくつも経験してきたとは信じられない程、

体力、気力に満ち溢れ、そして何より聴力が研ぎ澄まされたお方です。

ちょっと不満を口にしただけでも、すぐに耳に届き、喝が入ります。

 

鎌の使い方から、土の耕し方、畝の作り方、苗の植え方、水のやり方、肥料のやり方。

この母親達(以後、母弟子達)は、こんなに何も知らないのに、野菜を作る気なのか?と

驚きながらも、1から丁寧に教えてくださっています。

 

そう、アメとムチを的確に使い分けながら・・・

 

基本的に、アメをもらうのは母弟子の子供達(以後、孫弟子)、ムチは無知な母弟子、父弟子達が食らいます。

(母弟子は10回に1回くらいの割合で、アメを頂戴することがあります)

 

「言い方はきついけどね、心根は優しい人なのよ。」うふふと笑いながら、師匠の奥様は仰います。

よく分かります。孫弟子達が師匠を怖がらないところからも、感じられます。

 

 

孫弟子達は、発達障害を持っています。

 

 

発達障害への理解は少しずつ進んでいますが、まだまだ時間が必要でしょう。

それ故、学校などの日常生活の中で、彼らは彼らの持つ特性を理解されず、叱責を受けることが多々あります。

見た目では障害があることがわかりづらい為、厳しい目で見られてしまうのです。

頑張っているのになぜか怒られてしまう・・・。そんな毎日に混乱し、自信や、やる気、笑顔を無くしてしまう子も多いのです。

 

そんな彼らだからでしょうか?

もしかしたら、人の本性を感じる感覚が鋭いのかもしれません。

この人は自分の味方なのか、そうでは無いのか・・。

 

孫弟子達は、まだ小学生なので、畑に来ても野菜作りを手伝うでもなく、

好きなことをしてることがほとんどです。

 

時には、お邪魔になったり、やらないで欲しいことをやったり。

母弟子も恐縮してしまうこともあり・・。

 

でも、師匠は「やらせてやればええんだ」と仰ります。

そして、「ようやったな!」とアメをくれるのです。

 

幸運にも、こんな師匠を持てたので、母弟子達は野菜作りを続けることが出来ます。

この夏、一時体調を崩し、入院されて心配しましたが、今はまた畑に出ていらっしゃいます。

これからは師匠の体力を温存するのも、母弟子達の努めでしょう。

 

師匠、いつもありがとうございます。心から感謝しています。

 

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2020年12月。鍬の使い方を惜しみなく伝授する師匠。(「師匠」と書いて「鱗滝左近次」と読んでもいい)

 

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竹を組み立て、肥料や農具をしまっておく小屋を作って下さった。顔を出せないのが惜しいほど、精悍な顔つきをしていらっしゃいます。

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小屋完成。師匠のお孫さんも巻き込んで、母弟子達の修行は続く。

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アメだらけの孫弟子達。何をしても褒められる。

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ムチをくらっている最中の父弟子。この父弟子はムチしか貰ったことが無い。



ではまた👋