勇気ある撤退(モロッコ豆編①)2021
「勇気ある撤退」とは、「失敗」「収穫を諦めた」ということです。
でも、「失敗」したのは「チャレンジ」したからこそ。
「チャレンジ」できたのは、ムチを携えた師匠が、後ろから睨みを効かしていらっしゃったからこそ。
いえ、結果がどうなるにしても、「まずやってみたらええ」と面白がりながらも、じっくり見守ってくれる師匠がいるからこそ。
私たちも、子供達のチャレンジする気持ちを大事にしたいと、師匠を見ていて思うのです。
私たちが師匠から学べることは、野菜作りだけではないようです。
勇気ある撤退(モロッコ豆編①)
「うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!」 by 弁当を食べる煉獄杏寿郎さん
「うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!」 by モロッコ豆を食べる母弟子
それは、ブロッコリーとキャベツの収穫が、そろそろ終わりに近づいた4月中旬。
「おぅ、次はモロッコ豆植えてみれ。」
師匠が仰いました。
初耳な名前です。一体、どんな豆なのでしょうか。
師匠がポケットから種が入った袋を見せて下さった時、母弟子Tは思います。
(苦手系・・・)
母弟子Tはサヤ系の豆類は得意ではありません。
ちょっと緑色の味が濃いと言うか、バッタの香りと言うか、とにかくちょっと苦手なのです。
野菜を自分で作る醍醐味は、種を撒き、肥料を与え、水を与え、「美味しくな〜れ」と
収穫の日を楽しみに世話をして、それを食べて「美味しい!」と感激するところにあると母弟子は思っています。
苦手なものを栽培する。
食べる楽しみもないのに。
出来るでしょうか。
いや、やるのです。
師匠は長年の経験から、モロッコ豆を栽培することは素晴らしいと思うからこそ、
モロッコ豆を弟子に栽培するように命令するのです。
弟子は師匠の言葉を大切にするものです。それが修行と言うものです。
「かぐや姫の野菜畑」は、母弟子Tだけのものでは無い、ということも思い出します。
他の母弟子や孫弟子の中に、モロッコ豆が大好物な人がいる可能性だってあるのです。
その人の笑顔の為に、苦手な野菜を作る。
それもまた一興。
「私、モロッコ豆あまり好きじゃ無いのよね。」
「かぐや姫の野菜畑」のブレイン、母弟子Sが告白します。
ここにもう一人、誰かの為にモロッコ豆を作る人が。
さて。
園芸店で種を選ぶ母弟子に、最初の試練が訪れます。
師匠は特にどちらとも念を押されませんでした。
これは師匠の指導の不行き届きと言っても良いかもしれません。
もしくは、どちらでもいけるのでしょうか?
勝率は五割。
よし!つるありだ。
「そんなの、つるありに決まっとろうが」 by 師匠
勝ちました。
4月21日、いよいよ種植えの日を迎えます。
農業女子予備軍の孫弟子Kは、師匠に引っ付いてせっせと作業を進めます。
日光浴が目的の孫弟子Rは、泥団子作りに没頭しています。
師匠と孫弟子Kの共同作業により、種植えは無事終了です。
あまり活躍できなかった母弟子が「私が水をやります」と宣言すると、師匠は仰いました。
「そんな急に水なんかやったらあかん!芽出さなくて良いんか?」
モロッコ豆が大好きな人にとっては、芽を出さないのは大問題です。
なんでも種に急に吸水させるのはご法度だそうで。
天気と相談しながら、徐々に水を含ませるようにするのが良いそうです。
母弟子Tの愛読書「野菜作り大全」には書いてありませんが。
「本がなんぼのものか」
師匠はよく仰います。
その通りです。畑の土の性質、気候などは、全国一律では無いのです。
この畑を知り尽くしている師匠の言葉こそ、母弟子達のバイブルと言って良いでしょう。
専門書は、こっそり家で読めばいいのです。
さて。
種植えから約2ヶ月後、モロッコ豆は収穫の時を迎えました。
栽培してみれば興味が湧くもので、母弟子Tはモロッコ豆を胡麻和えにして食べてみました。
「うまい!!!!」
なんという美味しさでしょう。
この美味しさを知らないまま、何十年と生きてきてしまいました。
孫弟子達も箸が止まりません。
母弟子Tの母よ。
なぜモロッコ豆を食卓に出さなかった・・・
残された人生の中で、いかに沢山のモロッコ豆を食べるか。
ここに母弟子Tの挑戦が始まりました。
勇気ある撤退「モロッコ豆編②」に続く。
ではまた👋